び~ふぁいる

主に未邦訳の海外ミステリーについて語ります

第16回の、そのまえに 

 ごく少数ながらこのブログを覗いてくれている皆さま、ありがとうございます。最後の更新から一カ月以上空いてしまいましたが、その間に個人的に色々なことがありまして……。翻訳やリーディングのお仕事を頂けたのはありがたいのですが、同時に家族が脳梗塞で倒れて深夜に救急搬送されたり、さらに時を同じくして飼っていた老猫が死期を迎えたりと、もう頭のなかは不安と悲しみでぐっちゃぐちゃでした。まだコロナ禍ということもあって入院したら一切面会はできないということもあり、もしかしたらこれっきりなのかも、という思いに押し潰されそうになったり。そんな私の気持ちが猫にも反映されたのか、彼女はその日以来食べなくなりました。

 こんな状況で仕事などできるはずもなく、次の訳書は断ろうと思っていたのですが、ほんの数行でも、たった1ページでも、訳しているあいだはその本の世界に入り込んで現実を束の間ですが忘れられていることに気づき、仕事に助けられているという気持ちが強くなったり。

 幸い、奇跡的に軽症で済んで家族は退院。その後一週間は老猫につきっきりになりました。基本家猫なので散歩はごくたまにしかしないのですが、その一週間はやたらと外に出たがっていたので、望みを叶えてやりたくて連日散歩をしました。よたよたしながらも草の匂いを嗅いだり、今まで行ったことのない小路に入ったりと好奇心いっぱいに散歩を楽しむ姿は今でも胸に焼きついています。そんな冒険ができるのも、後ろで私に見守られているからだと安心している気持ちも伝わってきて、改めて絆を感じました。最期はよくネットで聞くような苦しみもなく、ちょっと息が荒くなって、その後安らかに旅立ちました。

 私に霊感なるものが皆無のせいもあるのでしょうが、部屋に彼女の気配はもう全く感じられません。きっとすんなりと天上へ行ったのではないでしょうか。あまり悲しんでいると猫があちらに行けないという話も聞きますので、昨日あたりからようやく気持ちを前向きにし、絆があればあの子の生まれ変わりにまた会えるという説を信じることにしました。

 

 というわけで、次回からはいつものび~ふぁいるに戻ってまたくだらないことをつぶやきますんでよろしく!