び~ふぁいる

主に未邦訳の海外ミステリーについて語ります

2022-01-01から1年間の記事一覧

年末に入ってきた嬉しいお知らせ

本ブログの『第4回S.A.コスビーその2』でご紹介したMy Darkest Prayerですが、なんとコスビーさんがツイッターで、My Darkest Prayerの続編としてネイサンとスカンクがどうやって知り合ったかについての話を書こうかな、とつぶやいていました。もし本当に書…

第34回 エマ・スタイルズ

いよいよ2022年も終わりに近づいてまいりました。本ブログを閲覧してくださった皆様、ありがとうございました。今年最後の更新でご紹介するのは、またまたオーストラリアの作品です。 No Country for Girls: The most original, high-octane thriller of the…

第33回 アントニー・ダンフォード

えらそうなことを言うほど本は読んでいませんが、本作品は私的に今年一番です。 Hunted (A Jane Haven Thriller) 作者:Dunford, Antony Hobeck Books Amazon 【あらすじ】 ケニア、ライキピア高原。バンダリ自然保護区。そこでは、この地球に存在する最後の…

12月の近況

いよいよ年の瀬も迫ってまいりました。何かとお忙しいなか、閲覧してくださってありがとうございます。 訳書の販促活動のためツイッターを開設したと確か前に申し上げたと思いますが、そこでもちょいちょいこのブログのリンクを貼ったりしていました。しかし…

第32回 ステフ・ブロードリブ

寒くなってまいりましたが皆さまいかがお過ごしでしょうか。サッカーは残念でしたが、死のグループと呼ばれたところを一位通過したのですからそれだけでも素晴らしいことでしょう。夢を見させていただきました。さて、気を取り直して今回は、バウンティハン…

第31回ピーター・パパナサシウ

今回はギリシャ系オーストラリア人作家、ピーター・パパナサシウさんの作品を紹介したいと思います。 The Stoning: "The crime debut of the year" THE TIMES 作者:Papathanasiou, Peter MacLehose Press Amazon 舞台はアウトバックと呼ばれる、オーストラリ…

第30回 ヴァンダ・サイモン

前回の末尾で次はオーストラリア発のミステリーをと書きましたが、まだ読み終わっていないので、南半球つながりということでニュージーランドの作家さんの作品をご紹介したいと思います。 Overkill (Sam Shephard, 1) 作者:Symon, Vanda Orenda Books Amazon…

第29回 クレア・ダグラス

今回ご紹介するのはサンデータイムズのベストセラー『The Couple at No.9』クレア・ダグラス著です。 The Couple at No 9: The unputdownable and nail-biting Sunday Times Crime Book of the Month (English Edition) 作者:Douglas, Claire Penguin Amazon…

第28回 アグネス・ラヴァトン その2

2016年、『The Bird Tribunal』でイギリスのミステリー界において鮮烈なデビューを飾ったアグネス・ラヴァトンさん。当然二作目への期待も高まります。そして2020年、満を持して発表されたのが本書『The Seven Doors』です。2021年度のCWA賞翻訳賞の…

第27回 アグネス・ラヴァトン その1

今回は北欧の女流作家、アグネス・ラヴァトンさんの作品を取りあげたいと思います。登場人物は実質二人だけなのに、ぴんと張った緊張の糸が最後まで切れることなく読ませるなかなかの傑作です。 The Bird Tribunal (English Edition) 作者:Ravatn, Agnes ORE…

第26回 クラム・ラーマン その2

日に日に雨が冷たくなってきましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。ところで、なんなのでしょう。このところ閲覧して下さるかたが微妙に、しかし確実に増えています。特に何もしていないのになぜ?? 閲覧数見るたびにどきっとしちゃうんですけど。で…

第25回 ジョナサン・エイムズ

今回ご紹介するのは、アメリカはLA在住の作家ジョナサン・エイムズさんの『A Man Named Doll』です。 A Man Named Doll (The Doll Series Book 1) (English Edition) 作者:Ames, Jonathan Mulholland Books Amazon 主人公の名前はハッピー・ドール。愛犬ジョ…

第24回 アーメン・アロンジ

前回の末尾でも触れましたが、今回はラゴス出身のイギリス人作家、アーメン・アロンジさんの作品を紹介したいと思います。書評サイトで紹介文を読んだとき、”これは好き系かも”と思って珍しく即ぽちってしまいました。普段はあちこちのレビューを読んで吟味…

第23回 アマンダ・ジェニングズ その2

前回に引き続き、アマンダ・ジェニングズさんの作品をお送りいたします。 In Her Wake (English Edition) 作者:Jennings, Amanda ORENDA BOOKS Amazon これはもう隠れた名作と言っていいでしょう。まさにミステリーとヒューマンドラマの融合! クライマック…

第22回 アマンダ・ジェニングズ その1

今回はちょっとマイルドに、ややYAよりの作品をご紹介しましょう。 The Cliff House: An emotional family drama from Amanda Jennings packed with suspense and secrets, for fans of dazzling literary thrillers (English Edition) 作者:Jennings, Amand…

第21回 クリス・オフット

暑い日々もようやく出口が見えてきたのかなと感じられる今日この頃、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。さて今回は、アメリカはケンタッキー発の珠玉のハードボイルドをお送りしたいと思います。 The Killing Hills: 'This is what Jack Reacher wants to…

第20回 サラ・ヒラリー

今回は、イギリスのミステリー界の至宝、サラ・ヒラリーさんをご紹介します。マーニー・ローマ警部補シリーズの第一作目である2014年のデビュー作『Someone Else's Skin』はマカヴィティ賞の最終候補に、第二作目の『No Other Darkness』はバリー賞にノ…

2022年7月 雑談

なんだかんだで今年も7月が終わろうとしています。先月半ばに愛猫を亡くし、猫ロスを抱えつつも前に進まなければと思い、機械的に目の前のことをやるという日々。はっきり言って頭は全然働いていませんでした。それに気づいたのは2,3日前。7月下旬締め…

第19回 ロッド・レイノルズ

今回ご紹介するのは、2015年にデビューしたイギリス人作家ロッド・レイノルズさんの『Black Reed Bay』です。 Black Reed Bay: The MUST-READ thriller of 2021 … first in a heart-pounding new series (Detective Casey Wray, Book 1) (English Editio…

第18回 トマス・ミューレン

Darktown: A Novel (The Darktown Series Book 1) (English Edition) 作者:Mullen, Thomas Simon & Schuster Amazon MLB! メジャー・リーグ・ベースボール! オオタニサン! じゃなくって……、BLMですよBLM! ブラック・ライブズ・マター! 今回ご…

第17回 ニタ・プローズ『The MAID』

本作品はその後邦訳されて出版されましたので記事を削除しました。(ネタバレを含んでいたため)

第16回 マット・ウェソロウスキ その2

前回に引き続き、マット・ウェソロウスキさんの『シックス・ストーリーズ』シリーズをお送りします。今回は第二弾『Hydra』。 Hydra (Six Stories Series) 作者:Wesolowski, Matt Orenda Books Amazon 【あらすじ】 2014年11月、当時21歳だったアー…

第16回の、そのまえに 

ごく少数ながらこのブログを覗いてくれている皆さま、ありがとうございます。最後の更新から一カ月以上空いてしまいましたが、その間に個人的に色々なことがありまして……。翻訳やリーディングのお仕事を頂けたのはありがたいのですが、同時に家族が脳梗塞で…

第15回 マット・ウェソロウスキ その1

今回ご紹介するマット・ウェソロウスキさんは2020年のCWA賞スチールダガー賞のロングリストに選出された『Beast』の著者でもあり、その実力は高く評価されています。 Beast (Six Stories Book 4) (English Edition) 作者:Wesolowski, Matt ORENDA BOOKS Amaz…

第14回 クラム・ラーマン

(この記事は三月に書かれたものに加筆しました) 過疎っているブログのごくごく限られた読者の皆さま、少し間が空いてしまい申し訳ありません。前回の予告でクラム・ラーマンの『East of Hounslow』邦訳刊行直前ネタバレ大放出!などと銘打ちましたが、邦訳…

第13回 ミック・ヘロン考察 その5

ゾーイ・ベーム・シリーズ③ 『Why We Die』 Why We Die: Zoe Boehm Thriller 3 (Zoe Boehm Thrillers) 作者:Herron, Mick John Murray Publishers Ltd Amazon 【あらすじ】 オックスフォードにある宝石店で強盗事件が発生。店主のスウィーニーは犯人捜しを私…

第12回 ミック・ヘロン考察 その4

『The Last Voice You Hear』(2004) The Last Voice You Hear: Zoe Boehm Thriller 2 (Zoe Boehm Thrillers) (English Edition) 作者:Herron, Mick John Murray Amazon 本書はゾーイ・ベーム・シリーズの第二作目となります。前作の『Down Cemetery Road』と…

第11回 ミック・ヘロン考察 その3

今回ご紹介するのは、ミック・ヘロンのデビュー作にしてゾーイ・ベーム・シリーズの第一作目である『Down Cemetery Road』(2003年)です。 Down Cemetery Road: Zoe Boehm Thrillers 1 (English Edition) 作者:Herron, Mick John Murray Amazon これが…

第10回 ミック・ヘロン考察 その2

前回でも触れましたが、『Reconstruction』は『窓際のスパイ』/『Slow Horses』シリーズの前奏曲ともいうべき作品になっています。 Reconstruction 作者:Herron, Mick John Murray Publishers Ltd Amazon これを読んでからだと、『窓際のスパイ』によく出て…

第9回 ミック・ヘロン考察 その1

予告でもお伝えしましたが、ミック・ヘロン原作のスパイスリラー『窓際のスパイ』(原題『Slow Horses』)のドラマ配信がapple tvで4月1日から始まったようです。 https://iphone-mania.jp/news-441850/ 主人公のジャクソン・ラムを演じるのはイギリスを代…