び~ふぁいる

主に未邦訳の海外ミステリーについて語ります

終わったのでしばらく寝かせます。直しながら読んでて……すごく面白い! 原作が! わたしはただ日本語になぞっただけ。

第65回 ウイリアム・ハッセイ

今年最後を締めくくるのは第20回で紹介したサラ・ヒラリーさんも大絶賛している、ゲイの元刑事が主人公のゴシックホラーです。 Killing Jericho: The helter-skelter 2023 crime thriller like no other 作者:Hussey, William Bonnier Books Ltd Amazon 【あ…

第64回 リズ・ニュージェント

2023年も終盤にさしかかってまいりましたが、今回は様々な書評サイトで2023年のベストブックに選出されている話題作『Strange Sally Diamond』をお送りします。 Strange Sally Diamond (English Edition) 作者:Nugent, Liz Gallery/Scout Press Amaz…

第63回 スティーブン・J・ゴールズ その3

今回も引き続きスティーブン・J・ゴールズさんの作品をご紹介します。ゴールズさんは現在日本を舞台にしたミステリーを執筆中とのこと。これまでご紹介したのは詩集と恋愛小説でしたが、彼のデビュー作はノワール物です。ということで、それを読めば彼のミ…

第62回 スティーヴン・J・ゴールズ その2

第55回に引き続き、スティーヴン・J・ゴールズさんの作品をご紹介します。前回は詩集でしたが、本書はその世界観をそのまま小説にしたような、異色の恋愛作品となっています。 Shadows Slow Dancing in Derelict Rooms (Stephen J. Golds' Outcast Series) …

第61回 ラッセル・W・ジョンソン

今回はラッセル・W・ジョンソンさんの『The Moonshine Messiah』(2023年刊)をご紹介します。 The Moonshine Messiah: A Mountaineer Mystery 作者:Johnson, Russell W. Shotgun Honey Books Amazon 【あらすじ】 ウエストヴァージニア州ジャスパークリーク…

第60回 キャサリン・チッジー

今回は2023年7月に刊行された、ニュージーランド発のサイコサスペンス『Pet』をご紹介します。 Pet: The international bestseller (English Edition) 作者:Chidgey, Catherine Europa Editions Amazon 【あらすじ】 1984年。十二歳の少女ジャステ…

第59回 キース・ブルートン

今回は、2022年7月に刊行された作品『The Lemon Man』をご紹介します。 The Lemon Man (English Edition) 作者:Bruton, Keith Brash Books Amazon 【あらすじ】 ”レモン・マン”ことパトリック・カレンはダブリンの街を愛用の自転車で縦横無尽に駆け回る殺し…

第58回 ダニエル・スウェレン・ベッカー

今回ご紹介するのは、十月三日に発行されたばかりの新作! ドキュメンタリー形式で綴られた実録犯罪タッチの作品『Kill Show』です。 Kill Show: A True Crime Novel 作者:Sweren-Becker, Daniel Harper Amazon 【あらすじ】 十年前、メリーランド州フレデリ…

第57回 イーライ・クレイナー その2

本ブログの第42回でもご紹介しましたイーライ・クレイナーさんのデビュー作である『Don't Know Tough』は今年一番、いやこの十年に一作出るかでないかというほどの衝撃作でした。次作の本書『Ozark Dogs』もアマゾンのあらすじを読む限り、それに表紙のイン…

第56回 エリク・プルイット

今回は、2023年5月に刊行され、アマゾンで四千件以上のレビューがついている話題作『Something Bad Wrong』をご紹介します。 Something Bad Wrong: A Thriller (Jess Keeler Thrillers Book 1) (English Edition) 作者:Pruitt, Eryk Thomas & Mercer Amazon …

第55回 スティーヴン・J・ゴールズ

今回は、たまたまXを介して知った詩人/作家のスティーヴン・J・ゴールズさんの詩集をご紹介します。彼の新刊のカバーが個性的だったので興味を持ち、アマゾンでチェックしてみたらその独特な世界観に惹かれ、ポチッてみました。しかし待てど暮らせど来ない!…

第54回 グラハム・バートレット

更新がすっかり遅くなってしまい、もうしわけありません。今回は、サセックス警察ブライトン・アンド・ホーヴ管区に三十年間勤務し、退職時の役職は警視長だったというグラハム・バートレットのさんの作品『Bad for Good』をご紹介します。 Bad for Good (Jo…

第53回 ジョン・ブラウンロウ その2

今回は、第50回でご紹介したジョン・ブラウンロウさんの『Agent Seventeen』の続刊となる『Assassin Eighteen』をご紹介します。8月25日に刊行されたばかりの新刊です。 Assassin Eighteen: A gripping action thriller for fans of Jason Bourne and Jam…

第52回 クレイグ・タールソン その2

今回も引き続きクレイグ・タールソンさんの作品のご紹介です。前回のレビューにタールソンさんは、英語版はどうやったら読めるんだ?とツイートなさっていたので(フォロワーのケネスさんが翻訳ボタンを教えてあげていました。ありがとう、ケネスさん)英語…

第51回 クレイグ・タールソン その1

連日猛暑が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。さて今回は趣向をちょっと変えまして、ツイッターで知り合って絡ませてもらっている作家さんの作品をご紹介するというスタンスでやっていきたいと思います。タールソンさんはとにかくめちゃくちゃ…

第50回 ジョン・ブラウンロウ その1

今回は、2023年度CWA賞イアン・フレミング・スチールダガー賞受賞作の『Agent Seventeen』をご紹介します。 Agent Seventeen: The Richard and Judy Summer 2023 pick - the most intense and thrilling crime action thriller of the year, for fans of…

第48回 ジョージ・ドーズ・グリーン

今回は1995年MWA賞最優秀処女長編賞受賞作家で、1996年に公開された映画『陪審員』の原作者でもあるジョージ・ドーズ・グリーンさんの作品『The Kingdoms of Savannah』をお送りします。なお、本作品は2023年度のCWA賞ゴールデンダガー賞を受賞…

第49回 サイモン・メイソン

今回も引き続き2023年度CWA賞ゴールデンダガー賞の最終候補作をご紹介します。 A Killing in November: a razor-sharp Oxford mystery (DI Wilkins Mysteries Book 1) (English Edition) 作者:Mason, Simon riverrun Amazon 【あらすじ】 バーナバス大学…

第47回 マーク・ワイトマン

マーク・ワイトマンさんのデビュー作『Waking the Tiger』は第33回と第45回で紹介したアントニー・ダンフォードさんと同じ、インデペンデントの雄のホベック・ブックスさんから出版されています。実はダンフォードさんの『Hunted』が面白かったとツイートし…

第46回 アンナ・マッツオーラ

今回は、2023年度のCWAゴールドダガー賞とヒストリカル賞の最終候補に残った『The Clockwork girl』を取りあげてみたいと思います。 The Clockwork Girl: The captivating and bestselling gothic mystery you won’t want to miss in 2023! (English Edition…

第45回 アントニー・ダンフォードその2

第33回でご紹介した『Hunted』の前日譚となる本作。ダンフォードさんと版元のホベック・ブックスさん向けに英語バージョンを先にアップしましたが、こちらは日本語バージョンのレビューです。 Born the Same: Prequel to 2022 CWA New Blood Dagger longlist…

NO.45 Antony Dunford part2

Born the Same: Prequel to 2022 CWA New Blood Dagger longlisted title (English Edition) 作者:Dunford, Antony Hobeck Books Amazon Blurb Colm Reid is a journalist working for the Irish Telegraph. He writes an article on an Irish brown bear an…

第44回 カール・ニクソン

今回ご紹介するのはニュージーランド発のゴシックスリラーです。 The Tally Stick 作者:Nixon, Carl World Editions Amazon 【あらすじ】 1978年、仕事の都合でイギリスからニュージーランドにやって来たチェンバーレイン一家。到着して三日とたたないう…

第43回 ブレンダン・スローカム

またまた素晴らしい本に巡り会いました! 去年の作品で、買ったはいいのですがどうにもバイオリンがテーマとあって興味が湧かず(クラシック音楽とか苦手なもので……)積んであったのですが、ようやく手にとって読み始めるやどうしてすぐに読まなかったのかと…

第42回 イーライ・クレイナー

さて、今回は『Don't Know Tough』by イーライ・クレイナー徹底解説と題しまして本書を徹底的に語りたいと思います。 Don't Know Tough: 'Southern noir at its finest' NEW YORK TIMES (English Edition) 作者:Cranor, Eli Headline Amazon とにかく凄かっ…

第41回 J.K.フリン

お待たせいたしました。今回はやさぐれ女刑事が主人公の作品をお送りします。このはみだし刑事的なキャラって男はいっぱいいるのになぜか女はいませんよね。女がいたってちっともおかしくはありません。というわけで、さっそくご紹介いたしましょう。 The Ar…

第40回 ロザリンド・ストップス

今回は、三人のお年寄りが織りなすとってもユニークなコージー・ミステリーをご紹介します。 A Beginner’s Guide To Murder 作者:Stopps, Rosalind Hq Amazon 【あらすじ】 ピラティスのレッスンに通う仲間のメグ、グレース、ダフネは七十代。ある日レッスン…

第39回 ダニヤ・クカフカ

今回は2023年度エドガー賞長賞賞にノミネートされている作品をご紹介します。 Notes on an Execution (English Edition) 作者:Kukafka, Danya Phoenix Amazon これ一年以上前から評判になっているのを知ってて、売れている作品なので勉強のために読もう…

第38回 ジョー・キャラガン

前回の記事で、気合いを入れてリーディングしたいので次の更新は月末……などとぬかしておりましたが、なんかさくっと読めて思ったより早くレジュメできちゃいました。何も私の手際がいいわけではありません。goodreadsなどのレビューを見ると二時間で読み終え…